ニカラグア レポート① 貧困地域(長文)

今、ニカラグアの地方都市、サンマルコス、という所にいます。

今日は貧しい(と言われている)、治安の悪い(と言われている)、麻薬中毒者が沢山いる(と言われている)ある地区に言って、色々な人にインタビューをしてきました。先生と友達と3人で、授業の一環として行ったので、危ない事はありません。

先生はその地区に住んでいるので、大体の人と友達です。

少し、そのレポートと感想を書きます。


その地区に足を踏み入れると、道路は舗装されていなく、大人、子供が道でたむろしています。

入ったすぐの所で、まず一人目のインタビュー。
麻薬中毒者で、逮捕歴28回。理由は窃盗等。今は麻薬は辞めたが、アルコールは辞められないということ。子供がふたり。
仕事はコーヒー豆の収集を週に一度程。
アルコールにまだ頼っている事をどう思っているか聞くと「良くないよね、辞めたいよ」と言っていました。
また会おうぜ!nos vemos!といって別れました。



しばらく歩くと若者と子供が遊んでいます。その若者(23歳)にインタビュー。
「学生さんですか?」「いや、前は学生でしたが辞めました。」
「どうやってお金とか食べ物を稼いでるの?ドラッグもやるんでしょ?どうやって手に入れてるんですか?」「たまに建設の仕事があれば行くくらいかな。あとは盗んだりしてるよ。」
「建設の仕事ではいくらくらいもらっているの?生活していくに十分?」
「1日働いて130コルドバ(500円強)くらいかな。生活するにはそれで十分だよ」
終始笑顔で、彼とも、またね!と言って別れました。


さらに歩いて奥に行くと、ゴミ収集車がゴミを収集しています。そしてその収集車には日本とニカラグアの旗。トヨタ車です。日本のODAによって購入されたものと思われます。
ゴミ収集車の上には、数人のあんちゃんが素手で大量のゴミをホコリまみれになりながらさばいています。
先生「手袋もないんだよ。」
道路も舗装されていないので、ゴミをこぼしながら、ホコリを巻き上げながら走って行きました。


さらにさらに歩くと、こちらも先生の知り合いの、長老風の人。
元、この地区の生活向上プロジェクトのリーダーをしており、市長とかと共同していたらしい。家々に屋根をとりつけたり、地区をきれいにしたりしていたらしい。
また、アメリカの援助者とも共同していて、服とか靴とかの配給をしていたとのこと。




さて、よく見るといろんな事が分かります。

まず、食べ物がない程の貧困ではないということ。
さらに、結構良いものを持っていたりするということ。

例えば、子供達はだいたい携帯電話をもっていて、それで音楽を聞いています。
また、あるぼろぼろの家から凄くいい音質の音楽が流れていたりします。(かなり良いスピーカーを持っているはず。)
長老風の人もぼろぼろの家に住んでいましたが、非常に高い、ブランドものの時計をしていました。

先生曰く、皆、使い方を分かっていないんだよね、ということ。

また、麻薬中毒者、と日本で聞くと、おぞましい印象がありますが、そんなことは全然なくて、皆笑顔のかわいい普通の子供です。挨拶すると挨拶してくれるし、変な奴が来た、といって差別することもない。インタビューすると恥ずかしそうに、でも普通に受け答えしてくれます。
ただ、ドラッグをやっている時は、記憶をなくしているので、窃盗をする可能性がある、ということ。

さらには、結構皆幸せそう。(これは当然主観的な見方がそうとう入りますが。)
皆笑っているし、どうよ!?(Como están??)って聞くと、最高だぜ!(Muy bien!!)と答えてくるし。


全体的なイメージとしては、極めてポジティブなイメージを持って帰ってきました。当然、問題はあるものの、基本的には皆満足していそうなんです。




さて、教室に帰って、先生とディスカッションの時間です。


僕「先生、彼らは幸せそうに見えたけど、支援は必要だと思う?」
先生「うん、思うよ」
僕「今までどんな支援があったの?」
先生「それが問題でね。今までは、食料をパックにして各住民に配る、みたいな支援が多くてね。」
僕「それじゃ意味ないよね。だってもらえると思ったら自分たちで努力しなくなっちゃうよね?」
先生「その通りなんだよね。だから、雇用を与える事が大事だと思うよ。彼らが働けるようにならんとね。でも政府は票を集めたいからそういう事をするんだよね。」
僕「政府に責任があると思う?」
先生「全ての責任が政府にあるとは思わないけど、一定の責任はあるとは思うよ。政府に賛成の人にしか恩恵が行き届かない、っていうのも問題だと思う。でも、政府も他に取り組むべき優先課題もあるからね。日本はどうなの?」
僕「日本は、政府に反対の人が不都合を被るっていうことはさすがにないと思うよ。あと、努力しないで政府の支援を受けるっていうのを少しでも妨げる為に、生活保護とか失業保険を受けるには毎月就職相談所に通うとか、そういう事をしなきゃないことに一応なってるよ。」
先生「それは素晴らしいね。」
僕「個人的には、政治を通じて世の中を良くするってのは限界があるかなって思うんだ。やっぱ皆既得権を守りたかったりするから。それはどこの国でも同じだと思う。日本が一応ガバナンスが効いて、まともな国になっているのは、民間が頑張ったっていうのも大きいと思うんだ。会社が頑張って国に富をもたらしたから人々の生活レベルも向上して、教育水準も上がって、政府もきちんとせざる終えなくなった。もちろん、政府も会社と一緒に経済成長を推進したから、政府の功績も大きいとは思うんだけどね。」
先生「へーそうなんだ。やっぱ民間による雇用の創出は大事よね。」
僕「それにしても、難しいのは、全ての要素が原因であり、また結果であるってことだよね。例えば、教育の欠如、貧困、薬物、行政サービスの不足、雇用不足、みたいな話は、どの要素も、他の要素の原因であり、また、結果でもあるじゃん?」
先生「そう、問題は複雑なのよね。当たり前だけど。」
先生と僕「まあ、だから、取り組む価値があるんだけどね。」



ってな感じです。



難しいなー、と同時に、取り組みがいがあるなーというか、良い意味で面白い(この言葉は不謹慎かもしれませんが。)と思います。



何より良かったのは、犯罪者、麻薬中毒者、と呼ばれている子供達、若者達が、ドラッグをやっていない時はまともで、更正を願っていてい、悪い事をしている、という自覚があったことです。

先生もそう言っていた。機会さえあれば、悪循環から抜け出せる可能性はある、って。

思っていたよりも全然良い状況だった。こういう状況なら、まだまだ一人の人間として何かできるチャンスがあるのかなーって。




なんか、こういう問題に、少しでも自分の頭と行動力と少しの知見を使って貢献できたらなーと思ってます。



長文失礼しました、また機会があれば書きまーす★