今使っている言葉を疑う - 深く考える為に ① -
こないだのジェンダーの記事の最後に、「『男女』と言った時点で人間はオトコかオンナのどちらかに分類できる、と仮定していることになる」と書きました。
今日はもう少しそれについて考えてみたいと思います。
「男」という言葉は、「女」という言葉と対になっています。つまり、「男」と言った時点で、「女」というものが存在している事を暗黙のうちに、もしくは、無意識のうちに前提としている、ということです。
つまり、「男」と言った時点で、人間は「男」か「女」の二つのグループに分けることができる、と無意識のうちに考えている、ということです。
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でも、人間は単純に「男」か「女」の2種類に分類できるものではないはずです。
当たり前ですが、レズの方もいるし、ゲイの方もいるし、バイセクシュアルの人もいるし、トランスジェンダーの人もいます。
(詳しくはLGBT: https://ja.wikipedia.org/wiki/LGBT)
「男」とか「女」という言葉を使った時点で、これらの人々は「え、あたし、どっちにも属してないんだけど」となってしまうかもしれません。
(念の為に書いておくと、生物学的にも人間はクリアに「男」と「女」に分けられるものではありません。例えば:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%A1%E6%80%A7%E5%85%B7%E6%9C%89)
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例えば、途上国等の開発プロジェクトの目標に「女性のエンパワーメント」というものが頻繁に見受けられます。
でも、ゲイやレズの人がこれを聞いた時になんと思うでしょうか?
「おれは、あたしは、エンパワーメントされる対象に含まれるんだろうか、含まれないんだろうか。やっぱり男か女かという二つの選択肢から選ばなければ人生生きて行けないんだろうか」と思わないでしょうか?
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「言葉」はとてもパワフルだと思います。特に意識せずに使っている「言葉」が思考を形作っていると思います。
なので、今使っているありとあらゆる「言葉」を疑ってみる事で、今の思考を見直す事ができるようになり、より深く思考できるようになり、違った世界観を持つ事ができるような気がします。
(先日、「意味の意味」というような意味不明な記事を書いたのもその為です。)
大学院の時に出会った先生が、クレイジーですがとても面白い事を言っていました。
「俺、ちょっと1年くらい、言葉を使わないで生活してみようかと思うんだよね。言葉を使う全ての活動をやめてみたら新しい世界が見えると思うんだよね。人と話さない、人の話も聞かない、書かない、読まない、できる限り言語を使って思考もしない。」
どんな世界がみえてくるんでしょう。