自己満足の時代
高校の時、サッカー部に属していましたが、鬼コーチに付けられたあだ名は「自己マンプレーヤー」
カッコいいプレーや綺麗なプレーに満足し、結果に結びつかないプレーばかりをしてたので付けられたあだ名でした。
正直、楽しければ勝つか負けるかなんでどうでもよかったんです。
さて、ある時コーチが言いました。
「地区大会で優勝したくらいで満足してるからダメなんだ。県大会で優勝しないと。だから自己満足って言われるんだよ」
僕は聞きました。
「県大会で優勝したら自己満足じゃなくなるんですか?関東大会で優勝しなくてもいいんですか?」
「関東大会で優勝できたら良いに決まってるだろ!」
「え、でも関東大会で優勝できても全国大会で優勝できなかったら所詮自己満足っすよね?」
「。。。。。」
「全国大会で優勝できても世界大会で優勝できなかったら自己満足っすよね?」
「。。。。。もういい。」
こうして僕はサッカー部を去りました。笑
そう、この理論でいくと、メッシでないサッカー選手は全員自己満足ということになります。
さて、では、自己満足って悪い事なんでしょうか?
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今年のはじめ、最強の囲碁棋士であると言われていた韓国のイ・セドルさんがグーグルが開発したAIのアルファ碁に負けました。
チェスや将棋、囲碁といった、ルールが明確で暗黙知が入り込みにくい分野のゲームはコンピューターの得意分野です。
将来、コンピューターの計算能力が更に上がり、膨大なデータを統計的に分析できるようになったら、もう人間に勝ち目はないでしょう。
さて、それでは、AIに勝てない人間の棋士は自己満足なんでしょうか?
AIが人間より強くなったら、人間はチェスや将棋、囲碁をやめるんでしょうか?
多分そんなことないでしょう。
AIにはもう絶対勝てないと知りながらも、地区の大会で囲碁を打ち、町内の将棋大会で優勝して喜び、上を目指してゆくのでしょう。
そう、究極の自己満足です。
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100年後か200年後、僕はもう生きていない(と思います)が、人間ができることは全てAIができるような時代が来るかもしれません。
農業も、工業も、金融も、芸術も、学問も、全てにおいてAIの方が人間より効率的に、上手く、高い質でこなせる時代が来るかもしれません。
そんな時に、人間が「何かをする」ことの意味は、もはや、「トップを目指す」ことではありません。如何なる分野においてもトップにはAIが君臨してるのだから。
人間が「何かをする」ことの意味は、それ自体が楽しいから、それ自体が目的だから、でしょう。
そう、自己満足が全ての時代です。