ニカラグア レポート ④ 発展 (長文)

さて、先週は出張に行ってきました。
言ってきたのは太平洋側の地域、めーーーーっちゃ熱くて普通に座ってるだけで汗腺から汗が流れてきます。こんな熱いのは久しぶりでした。死ぬかと思った。。。笑


そこで、いろんな集落を回って取引先を見てきた訳ですが、色々考えたので以下に書きます。長くなるかもなので興味ある人だけ!また、センシティブな話題も含まれるので、ご了承ください。

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さて、一日目はChichigalpaという街のある小さな家を借りて、地域の起業家、経営者向けに研修を行いました。(その地域で小さな商店を経営している人達、また、新しい商売を始めたい人向けですね)
どういう研修かというと、ワークショップです。「貿易ゲーム」って皆さんご存知ですか?
あれと似た様なものです。(写真があれば分かりやすいんですよね。。。すいません、今度から写真取るようにします。笑)

5人一組のチームを4つ作って、テーマを与えるんです。今回は、ストローのタワー。

「あるクライアントが「丈夫で高い」ストローのタワーを欲しています。さあ、みなさん、このクライアントにベストなタワーを作ってください。使える道具はストロー、テープのみです」

ということで4つのチームが作業を始めます。




さて、30分後、いろんなタワーが4つ出来上がる訳です。



それを作成するプロセスを振り返ってもらって、自分の事業の発展に生かしてもらおう、ということです。


さあ、面白いのは振り返りの時間です。

1:どのチームも、丈夫さ、がどの程度必要かの定義を聞いてこなかった。独自に判断して作るんです。まあ、高さ、は明確な訳ですが、丈夫さ、って不明確です。どういう種類の衝撃(縦揺れなのか横揺れなのか風なのか、雨なのか)に丈夫であればいいのか、とか、長い時間耐久性があればいいのか、短い時間の強い衝撃に対して耐久性があればいいのか、とか、定義は色々です。人は、いったん物事にとりかかると、盲目的に目的に向かって突っ走ることがあるよね。でも、最終的に買うのはお客さんなんだから、ちゃんとお客さんの要望を確認しようね、ということです。

2:どのチームも、他チームとの合併、恊働の可能性を考えなかった。4つグループがあると、皆すぐに、どうやって他のチームより高くて丈夫なタワーを作るか、を考え始める。ビジネスは競争である!という先入観の為でしょうか。でも別に、合体しちゃいけません、なんて言っていない。クライアントにベストな商品を提供してください、って言ったんです。極端な事言えば、全部のチームで合体して高くて丈夫なタワーを作れば、それが一番クライアントは良いモノを手に入れられるかもしれない。チームに分けると、すぐ、競争だ!ってなってしまう。恊働、強力の可能性もあることを頭に入れておこうね、っていうことです。

まあ、他にも色々ありましたが、この二つが個人的には面白かったです。何故かというと、日常生活や人生、世界観にも当てはめる事ができるからです。

1→たまに自分が目指してるものがほんとに正しいのか、それがほんとに必要なのかを考える時間は必要なのではないでしょうか。

2→弱肉強食だけが人間の世界のルールじゃないんだよ、っていうこと。ちょっとクリエイティブになれば、皆で協力して一つの良いモノを作り上げる事ができるんではないか、ということ。これ、国際協力とか国際政治の世界に是非とも当てはめたいなあなんていつも思う。

まあこんな所でしょうか。





二日目は、がたがたの道を1時間くらい山奥に入って行った所にある、ある集落に行きました。何故かというと、そこに、うちのNGOが支援しているお店があるから。そこのお店の経営状況を視察しにいきました。

さて、どんなビジネスかというと、なんと「ゲーセン」!です。笑


到着すると、ある民家の居間に、最新のゲーム機器が並んでいる。プレステ3とか、XBOXとか。
そこに子供達が集まってゲームをしているんです。ちょっとのぞきにいって、どんなゲームなの?と聞くと
「車を奪って街をめちゃくちゃにするゲームだよ!」
とイキイキと答える子供。


この、なんというか、あまりに、「議論やディベートのお題にしてください」と言わんばかりの状況に、ちょっと苦笑してしまいました。

その集落は、一目瞭然、非常に貧しい。家も土間だし、トイレも、国際機関が援助したような簡易トイレしかない。井戸も国際機関が寄付したと思われるきれいな井戸がある。

その一角に最新ゲーム機種(当然日本製の機種含む)が並ぶゲーセンがあり、子供達はそこでお金を使い、殺人ゲームを楽しんでいる。



さて、皆さんは何を考えますか?

僕は、一概にこの状況を否定するつもりは全くありません。
まず、僕もこういう類のゲームをやったことがない訳ではないし、そもそも、そんな人間が外国から入ってきて、「これは不健全だ」と言う事自体傲慢でもある、と思うからです。僕がいるNGOも、色々考えた末、このビジネスを支援する結論に至ったんでしょう。その背景知らずして、ひょっこり入ってきた外国人ボランティアがなんやかんや言うのも傲慢ですね。

その一方で、もうちょっと何かやりようがないかな、と思うのも事実です。
僕が勤めているNGO、Nitlapanのミッションは、人々の生活レベルの向上、です。このビジネスによって確かに、そこの経営者は生活が改善しました。それは確かです。でも、その利益がその集落全体に波及しているかどうかは疑問です。


子供が遊ぶのは普通です。じゃあ、誰が、どういう基準で、その遊びが健全か不健全か決めるのでしょうか。そもそも、それを決める事は正しいんでしょうか?

どうやったら一つの村の生活レベルって向上するんでしょうか。

どういうビジネスを展開したら、その集落全体に恩恵が及ぶのでしょうか。八百屋さんはおっけ?スーパーはおっけ?レストランもおっけ?そしたらバーは?そしたら、ちょっと怪しいバーは?バッティングセンターは?ゲーセンは?

考える事がたくさんです。



3日目は、ここも山奥の集落。ここでは、伝統的に「金」を採掘しています。でも、ほとんど機会の力を使わずに、人の手で、汗水たらして、ほんの一握りの金を抽出する為に一日中働いているわけです。

この道一本でやってきたおじいちゃんの日に焼けた姿が印象的でした。



さて、ニカラグアには、ある外国資本の金採掘会社が入ってきていて、機械の力で大規模に金を採掘し始めていて、そうすると、製造コストが落ちるので、金の価格も下がって、おじいちゃん達は、汗水垂らして鋳造した金を安く売らざるを得なくなります。外資なので、そこから出た利益のほとんどは海外に行ってしまいます。

これも、なんか、典型的なケースな気がして、色々考えさせられます。

企業が利益をあげて、法人税を納めて、それでもって国がまわっている、というのは事実です。ましてや、青年海外協力隊として僕がこの国に来れているのは、日本の企業が世界で利益を上げて、世界でも稀な経済発展をして、そのおかげでココに来れている、っていう側面があるのは、事実です。(当然他の側面もある。)僕の今の生活は全て税金によって支えられています。それは感謝しなければならない。

でも一方で、こういうおじいちゃんの伝統的な生活がすさんでいっって、彼等がどんどん貧しくなって行ってしまうのも、寂しい。
もし、企業が利益追求の為に、彼等の人権を軽視したりしているのなら、それも、寂しい。


この現象は多分世界のどこでも起きている問題で、どうにかしてうまい方法が見つからないかなーなんていつも考えています。


まあこれって、典型的な思想の対立的なものになりがちだと思うんですが、どうにかして、その間を取り持って、うまくやる方法はないかなあ、と。
①で出した、「協力」のお話ですね。






最終日は、24歳の旦那さんと20歳の奥さんが始めたパン屋さんを訪問。僕の働いているNGOは彼等がパン屋さんを始めた時に、資金を援助して、これまでも経営のアドバイスとかをしてきました。

お陰で彼等のパン屋事業はうまくいっていて、今では結構な収入を得ていて、生後3ヶ月の赤ちゃんがいます。



彼等は二人とも家庭に問題があって、家を出て、ふたりでずっと、農場で作物の刈り取り作業をしながら貧しい暮らしをしていたとのこと。

そこで、ある人を通じてうちのNGOを紹介されて、パン屋さんを始めた。


今、二人とも幸せそうでした。



金融、というと、金貸し、みたいなイメージがあって、あんまり良くないものと考えられているかもしれません。僕もそうでした。
でも、こうやって、人々の生活を改善している例も沢山あるんです。彼等はそういう人達の一人です。

だから、何事も一般かすると危険、ってことです。

金融は金貸し業で金に目がくらんでる、とか、開発は先住民の権利を奪う、とかとかとか。


なによりも、24歳で一つの店と一つの家族の全責任を負っている彼の姿に感動しちゃいました。
サウナみたいに熱いパン工房の中で、もくもくと働いている彼を見て、俺もしっかりせんとなー、ってなんか思ったりしました。
もうすぐ27歳のくせに、超甘えとるな俺、と。笑


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こんな感じで、日々学ぶ事、考える事、ばっかりです。
そして、やっぱり世界は面白いなー、と。(面白い、といったら失礼かもしれませんが。)


もっと経験積んだり勉強して、なんか、新しい価値を世の中に提供できて、人々が笑顔で生きられる社会作りに貢献できたらなー、なんて子供みたいに考えてるわけです。




まあ、上に書いた事って、ほーーーーんっと一部なんですが、まあこんなことしています、という報告でした!また機会があったら、そして気が向いたら(笑)書きますー!