ヴィクトール=フランクル 〜夜と霧〜 1

ずーっと読みたかった本を最近ひょんなことから手に入れて読んでいます。


ヴィクトール=フランクル 「夜と霧」




ユダヤ人の精神科医だった彼は第二次世界大戦中、ナチスに捕まり、強制収容所に入れられます。

そこでの、人間の全ての尊厳を奪われた過酷を極める状況で、彼がどうやって生きる意味を見いだしていったかについて書かれた本です。






強制収容所の状況は過酷を極めます。ろくに食事は与えられず餓死寸前の状況で、やせ細ったまま、過酷な肉体労働を強いられ、動けなくなると監視兵に暴行を受ける。

労働ができないほど衰弱したと判断されるとガス室送りになって殺される。
だから、どんなに辛くても健康で働ける様なそぶりを見せなければいけない。

周りでは疫病が流行し、どんどん仲間が死んでいく。
朝起きるとベッドから首を吊って自殺している人がいる。

それが日常なので、誰が次死ぬだろうか、そして自分はいつなのか大体分かるようになってくる。

最初はその理不尽極まりない状況に対して反発したりするが、そのうち最低限必要なことにしかエネルギーを使わなくなる為、一切の生命維持に関わらない思考は停止していく。

不潔を極めた状況の中で虫が舞い、排泄物の中で、3段ベッドの一段に3人で睡眠をとる。






考え得る限りの肉体的、精神的にもっとも過酷な状況です。







そんな中で彼は生きる意味について考えます。そして、周りの仲間達に言い聞かせます。








どんな絶望的な状況でも希望を捨てる必要はない事。

自分たちが過去に行ってきた仕事や行動の意味は何人たりとも奪う事ができない事。

自分たちがここで犠牲にしているもの、してきたものは必ず意味を持っている事。

自分の行動と心の態度を決める自由は永遠に自分が持ち続けているということ。

涙を恥じる事はない事。それは苦しむ勇気を持っている証拠だから。










多分、現代社会の、そして日本に生まれた僕らが、これを越える過酷な状況に直面する事はありません。

辛い、と思っても、多分、食べ物はあるし、寝る場所もあるだろう。






彼も僕らも同じ人間です。






だから、どんな苦しくなっても、この人の事を思い出せば、もう少し頑張ろう、耐えてみよう、状況改善の為の努力をしてみよう、と思えるはずだと思う。







細かい事は書きませんが、ほんとうに、勇気をくれる一冊です。