会社を辞められない理由 -行動経済学から-

さて、次の質問を考えてみてください。


「今、コインを投げて、表がでたら140万円あげます。でも、裏がでたら100万円没収します。この賭けをやりますか?やりませんか?」

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たぶん、多くの人が、「やらない」と答えるでしょう。多分僕もやりません。




でも、確率的に考えると、やるべきですよね?

表が出る確率は50%、裏がでる確率は50%。だから期待値は、140万×0.5+(-100万×0.5)=20万です。

確率的には、これは、「タダで20万円もらえる」ことと同義です。



なので、「理性的に、合理的に」考えると、やった方がいい。


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何故やらないのかを考えると、多分、140万円もらったときの嬉しさ度合いと、100万円失った時の悔しさ度合いを比べたら、100万円失った時の悔しさ度合いの方が大きいから、というのが一般的な答えかと思います。



さて、行動経済学ではこれをLoss Aversionと名付けていて、従来の経済学が規定する「理性的で合理的な人間像」から逸脱するものとして説明しています。

参考:https://en.wikipedia.org/wiki/Loss_aversion


このWikipediaによると「loss aversion refers to people's tendency to strongly prefer avoiding losses to acquiring gains」

つまり、「Loss aversionとは、何かを得ようとするよりも、何かを失う事を避けようとする傾向のこと(僕の勝手な意訳)」ということです。


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そう、何かを決める時には、その決定によって得られるものよりもその決定によって失うものにどうしてもフォーカスしてしまいがちです。



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僕は、新卒で入った会社を辞めるとき、とてもとても怖かったです。


それは、まさしく上記のLoss aversionで説明できます。


会社辞めたら失うもの:安定、給料、次のボーナス、社会的地位、居場所、etc etc.....
会社辞めたら得られるもの:?? 自由 ??




みたいな。笑



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もちろん、会社を辞めて得られるものと失うもの、両方を比べてみて、失うものの方が圧倒的に大きければ、辞めるべきじゃないと思います。








だけど、人間は失うものに過剰にフォーカスしてしまう心理的なバイアスがある、ということは知っておいて損はないかもしれません。



(あ、別に、会社やめた方が良いとか全然言ってませんからね?笑   ただの考察です、考察。笑)