(国際協力とか貧困削減に興味のある人達へ その2) マイクロファイナンスについて

さて、前回の記事で僕のお仕事についてちょっと書きましたが、今回はもうちょっとマイクロファイナンスについて踏み込んで書いてみようと思います。(ちょっとマニアックです。笑)



前回の僕のマイクロファイナンスの説明を読んで、「あれ、ちょっと自分の思っていたマイクロファイナンスのイメージと違うなあ」と思われた方もいるかもしれません。


そういう方は、「あれ、マイクロファイナンスって、貧しい人(特に女性)にお金を貸して起業してもらって、彼等、彼女らの収入を向上させる、っていうものじゃなかったっけ?」と思ったかもしれません。特に、国際協力とかについて勉強したことのある人は、そう思ったかもしれません。




それは正しいと思います。2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスさんは、基本的に、小額のお金を貧しい人々(特に女性)に貸し出し、彼女達が収入向上の為の小規模ビジネスを立ち上げるのを支援し、同時に高い返済率を達成して、「貧しい人にお金を貸しても、返ってこないだろう」というそれまでの常識を覆しました。

ただ、正確に言うと、これは、「マイクロクレジット」と言われるサービスです。日本語で言うと、「小額融資」です。お金を貸して返してもらう。なので、「融資」ですね。

一方、「マイクロファイナンス」の日本語訳は「小額金融」です。上に説明した「融資サービス」は「金融サービス」の一つであり、金融サービス全てが融資サービスなわけではありません。

金融サービスには、融資サービス以外にも色々なサービスがありますよね?例えば、預金とか、保険とか、送金とか、リースとかです。(金融業界に勤めてらっしゃる方は分かると思います。)

(こんなイメージ)




さて、なので、「マイクロファイナンス」という言葉は、「マイクロクレジット」という言葉より少し広い概念です。


これが何故大事なのかというと、貧しい人達には、「マイクロクレジット」だけでなく「マイクロファイナンス」のサービスが必要であることが分かってきたからです。言い換えると、貧しい人は、融資サービスだけでなく、他の預金や保険、送金の様なサービスも必要としている、ということです。


従来、貧しい人=収入が少ない=お金がない=預金なんてできない=お金を貸しても返ってこない、保険とか買えない=送金とかできるはずない、という風に思われていました。つまり、金融サービスなんて貧しい人には必要ない、と思われていたわけです。

確かに、一見そう考えがちですよね?「お金がない人達にお金に関わるサービスなんて必要ないっしょ?」と思いがちですよね?


でも、実はそうでないことが分かってきた。貧しい人達も、小額のお金を借りて、利子をつけて返したり、ちょっとずつ預金したり、将来の不確実性に対する備えをしたり(保険)、出稼ぎにいって家族に送金したりしているんです。

途上国、と呼ばれる国々の貧しい村にいってインタビューしてみてください。すぐ分かります。少なくとも家族の一人は遠く(海外含む)に出稼ぎに行って家族に仕送りをしたりしているし、親戚やお隣さんからお金を借りたりしています。

(貧しい人も複雑な金融行動をしているんだよ、ということを言っている有名な本がこれ。)

Portfolios of the Poor: How the World's Poor Live on $2 a Day

Portfolios of the Poor: How the World's Poor Live on $2 a Day

  • 作者: Daryl Collins,Jonathan Morduch,Stuart Rutherford,Orlanda Ruthven
  • 出版社/メーカー: Princeton Univ Pr
  • 発売日: 2010/11/29
  • メディア: ペーパーバック
  • この商品を含むブログを見る


ただ、問題は、その貧しい人々が使っている金融サービスの質が低い、ということです。

例えば、お金を借りる時の利子がめちゃめちゃ高かったり、送金する時の手数料がめちゃめちゃ高かったりです。

だから、貧しい人達に、もっと良い質の、フォーマルな(例えば、きちんと法律に則っている)金融サービスを届けようね、というのが、「マイクロファイナンス」の意味です。繰り返しますが、もちろんこれは、ユヌスさんがやっていた「マイクロクレジット」も含みます。



そして、上に説明した様に、貧しい人々は今まで、質の良い、フォーマルな金融サービスから除外されていたからそれを直さないといけないね、彼等も適正な金融サービスの対象に含むべきだね、という方針をより正確に反映しているのが、「インクルーシブ・ファイナンス」とか「ファイナンシャル・インクルージョン」という言葉ではないだろうか、ということで、近年は「マイクロファイナンス」よりも「インクルーシブ・ファイナンス」「ファイナンシャル・インクルージョン」という言葉が使われている、ということです。



そう、なので、簡単に言うと、僕の仕事は「どうやったらインクルーシブ・ファイナンス」を促進し、人々のニーズに応え、彼等の生活に貢献できるかを考える仕事、ということになります。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

てなことで、またまた告知ですが、こういう事に興味ある人は、もし良ければ、今度、僕の所属している団体が開催するワークショップ/勉強会に参加してみてください。ちなみに、メインのスピーカー、ファシリテーターは僕です。笑 

(本ブログの内容は、イベントの主催団体、PlaNet Finance Japanの公式見解ではありません。僕の個人的な理解、解釈、見解に基づいた記事です。)



以下、詳細です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

注目される貧困削減手法、マイクロファイナンスについて学ぼう。〜基礎編〜

日時:2016年1月16日(土曜日) 10:00 - 13:00
場所:スタンダード会議室 虎ノ門 ANNEX店:http://toranomon.spaceuse.net/access/
一階A会議室
参加費:1000円
主催:特定非営利活動法人 PlaNet Finance Japan

概要:
来る1月16日(土)、「注目される貧困削減手法、マイクロファイナンスについて学ぼう。〜基礎編〜」と題してワークショップを開催いたします!
2006年にバングラデッシュのムハマド・ユヌス氏がノーベル平和賞を受賞して以来、マイクロファイナンスは貧困削減の手法として世界中から注目を集めています。
では、マイクロファイナンスは従来の貧困削減の手法とどのように違うのでしょうか?マイクロファイナンスは何が斬新で、どのような形で貧困削減に貢献でき、また、どのような限界があるのでしょうか?
今回のワークショップでは、このような疑問に、講義と参加型演習を組み合わせてお答えします!

【こんな人におすすめ】
◇貧困削減、社会貢献活動、国際協力活動に興味のある方
マイクロファイナンスに興味がある方
◇実際にマイクロファイナンス機関で活動したことのある人の話を聞きたい、という方
◇同じ興味を持つ人たちと親交を深めたい方


******(以下転送歓迎)*******
University Meets PlaNet Finance
注目される貧困削減手法、マイクロファイナンスについて学ぼう。〜基礎編〜
【日時】2016年1月16日(土) 10時00分〜13時00分(9時45分からお入り頂けます。)
*終了後、懇親会を予定
【場所】スタンダード会議室 虎ノ門 ANNEX店:http://toranomon.spaceuse.net/access/
一階A会議室
○ 東京メトロ銀座線「虎ノ門駅」〜徒歩3分
○ 東京メトロ丸の内線/日比谷線/千代田線「霞が関駅」〜徒歩5分
【参加費】1000円
【定員30名】 先着順
【主催】特定非営利活動法人プラネットファイナンスジャパン
http://www.planetfinance.or.jp/
【プログラム】
① プラネットファイナンスジャパン概要説明
マイクロファイナンスについての基礎講義
マイクロファイナンス体験ゲーム
④ 質疑応答、ディスカッション

【参加申し込み方法】
参加をご希望の方はこちらからフォームをご記入ください
https://microfinance.doorkeeper.jp/events/36331



ーーーーーーーー


以上、またまた宣伝の為のブログでしたーーーー☆