真面目にテキトウする ③ -テキトウは世界を救うか-
さて、テキトウシリーズも第3回になりました。
今回は「テキトウは世界を救うか」という大それたサブタイトルをつけ、その答えはもちろん「YES!!! Of Course!!」な訳ですが、「自分の生き方が世界を救うのではないか」という仮説を徹底的に立証するバイアスのかかりまくった無責任な主張をする記事になっています。
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さて、世界にはいろんな問題がありますが、「二極化」というのは現代の社会問題のキーワードかもしれない気がしています。
グローバル化推進派 VS 反グローバル運動
グローバルマッチョな生き方 VS 地方でゆっくり生きようぜ (複数の言語を話し、国際経験を積み、ビジネスセンスをつけ、MBAなんかをとっちゃって、多国籍企業で働く、みたいな人達を「グローバルマッチョ」と巷では呼ぶらしいです。参考:http://blogos.com/article/72485/)
移民ウェルカム、国境のない世界を VS 反移民、ナショナリズム万歳派
テクノロジーが社会をより豊かにする VS テクノロジーが雇用を奪う
などなど、数え上げたらきりがありません。
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さて、なんでこんな二極化がおこっているんでしょうか?
少し、こないだ本屋で考えた事を元に考察します。
僕は本屋をふらふら歩くのが好きですが、こないだ目に入ってきた本のタイトルを見て、「日本も変わったもんだなー」なんて思いました。
何故かというと、「好きな事は全部やれ」とか「ノマドワーク」とか「大企業は3年で辞めろ」とかそんな感じのタイトルの本が沢山目に入ってきたからです。
そんなタイトルが目に入ると、「おお、これは自分の価値観に近いぞ、俺の生きる道は間違ってなかった!」なんて嬉しくなるわけです。
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でもここでふと立ち止まって考えます。
ん、これは本屋にそういう類いの本が増えてるわけではなく、自分の価値観を肯定するようなタイトルが目につきやすいだけなのでは???
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行動経済学でいうとこれは、確証バイアスと呼ばれるものです。
(確証バイアス:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A2%BA%E8%A8%BC%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%82%B9)
ようは、人は数ある情報の中から自分に都合の良いものだけをとってきて自分の信念や価値観を肯定、サポートしようとするよ、ということです。
こんな実験結果があります。左派的な研究者を集めたグループAと右派的な研究者を集めたグループB、双方に全く同じ調査結果を見せます。
そうすると、双方のグループが「それみろ、この調査結果が我々の主張を裏打ちしている」というのです。
最初に結論ありきで、それをサポートするデータを調査結果の中からピックアップしてきて、自分たちの都合の良い様に加工して使っている、ということです。
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本屋で自分の価値観、生き方を肯定する様なタイトルの本ばかりが目にとまるのはまさにこの確証バイアスの為だったのです。
(厳密には、過去何年か分の本屋の書籍数量に占める「リベラルな」本の割合を調べなければ分かりませんが。。。もしかしたら本当にそういう本の絶対数が増えているのかもしれません。。。でもこの場合も「リベラルな」本というのをどう定義するのか、という問題は残ります。)
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さて、こういうバイアスの存在は一つの現象を生み出す気がします。
手に入る情報の総量が多くなればなる程、自分の価値観を肯定する情報量も多くなり、どんどん自分の信念を深めていく、ということです。
情報量そのものが多くなかった過去においては、情報に触れる機会自体が限られていたため、自分の価値観や信念を肯定する機会自体も限られていたのかもしれません。
でも現代社会には情報が溢れ、ネットを通じてどんどん情報が入ってきます。
そこに確証バイアスがかかると、「あ、このニュースも自分の価値観を肯定している、この人のブログも自分の信念にあっている、この人の生き方も自分の生き方と似ている」という風に、自分の価値観を肯定する機会が多くなり、どんどんどんどん自分の確信を深めていくことになります。自分に都合の悪い情報は無意識に無視していることに気づかずに。
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さらには、Amazonの「あなたにおすすめの本」みたいな機能がこのバイアスに拍車をかけます。なにしろ、僕が好みそうな本ばかりすすめてきて、耳が痛いようなタイトルの本(例えば、「石の上にも3年」とか「それでも真面目が一番強い」とか。笑)はガン無視してくれるのですから、恐ろしい。
参考:セレンディピティについてhttp://d.hatena.ne.jp/Vivalavida0423/20140310/1394429235
こうして、情報量が極めて多くなった現代社会と確証バイアスがタッグを組む事で、人はどんどん自分の信念を肯定し、二極化が進んでいくのではないかと思います。
自由貿易賛成派はどんどん賛成になり、反対派はどんどん反対になる。
原発賛成ははどんどん賛成になり、反対派はどんどん反対になる。
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さて、この現象への対策は二つある気がしています。
一つ目は、強制的に、強い意志力をもって「耳の痛い」本を手に取ってみる事です。こないだ本屋でやってみました。「それでも3年は我慢しろ」みたいな本を呼んでみる事です。
これは有効な対策だと思いますが、長続きしなかった。。。何しろ耳が痛いですから。笑 自分を否定されている様な気がして、がくんと来ます。
やはり人間弱いもので、(ん?それは僕だけかも??)易きに流れてしまうものですから。。。
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でもちょとまてよ、易きに流れる?それは悪いのか?
そう、2番目の対策はここにある気がしてます。
それは、易きに流れまくって最初から信念や価値観など持たない事です。そうすれば確証バイアスがかかる事もない、少なくとも緩和できます。だって、肯定する信念や価値観すらないんですから。
本屋にいっても、おお、あれもいいじゃん、これもいいじゃん、この本もおもしれー、あの本もおもしれー。
「会社は2年で辞めて良い」 vs 「それでも3年は続けなさい」
どっちを信じればいいの? まあ別にどっちでもいいじゃん。笑 そんなどっちが正しいとか決める必要ないっしょ、別にどっちでもいいっしょ。笑
これを多分、世間では「テキトウ」と呼びます。
そう、「テキトウ」は、情報量があふれ、それに確証バイアスがかかる事によって二極化が進む世界において切り札になるのです。「テキトウは世界を救う」のです!
ということで、仮説の検証終わり。「テキトウは世界を救う」という仮説を、都合の良い情報だけを持ってきて検証することに成功しました。
参考:パラドックス http://d.hatena.ne.jp/Vivalavida0423/20130707/1373210921